記録を正す

最近の長距離フライトで、第二次世界大戦中の西アフリカ沖を舞台にした血みどろのアクションコメディを観た。いつもの鑑賞目的ではなかったが、この映画は私の叔父であるジェフリー・アプリアードが参加した実際の作戦を（極めて緩やかに）基にしたものだったので、興味をそそられた。

ガイ・リッチー監督による『非紳士戦省』 、ジェフリー（アレックス・ペティファーが演じた）と彼の仲間たちがフェルナンド・ポーの港からイタリア船とドイツ船を盗み出した『ポストマスター作戦』からインスピレーションを得ている。イギリスは、これらの船が大西洋で連合国の海運を攻撃していた潜水艦への補給に使われていることを恐れていた。フェルナンド・ポーはスペインの統治下にあり、スペインは中立国であったため、連合国による攻撃は戦争をエスカレートさせる危険があった。

映画で描かれているように、1942年1月14日の夜、将校たちが陸上でパーティーをしている間に、船は港で起きていることに背を向けてテーブルを並べたまま、運び出された。しかし、映画とは異なり、誰も殺されなかった。船に乗り込んだ者たちはコッシュで武装しており、参加した者の一人によれば、殴られたのは一人だけだったという。

この映画には、ジェフリーが投獄され拷問を受けたり、嬉々として殺戮のシーンで解放されたりといったフィクションが詰め込まれている。デイリー・メール』紙の批評家がコメントしたように、この映画は「監督の好きな、威勢のいい、エクスプロイテーション・スタイルの超バイオレンス......現実のステルス作戦に適用されている。

私の母、マーゴット・リーンは、私が生まれる9年前に戦死した兄ジェフリーの話で私を育ててくれた。彼は熱心なバードウォッチャーで、兄とともにヨークシャーのアッパー・ワーフェデールに生息するすべてのシジュウカラの営巣地や家族の歴史を知っていたし、スポーツマンでもあった。戦争がなければ、弟のイアンが後にオリンピックに出場したように、彼もオリンピックでスキーをしていただろう。そして、それを証明するカップを私は持っている。

第二次世界大戦中のコマンドーとしての彼の大胆な活躍を、彼女は誇りに思っていた。11ヶ月で3つ目の勲章である後者を受け取りに行ったとき、ジョージ6世は "何だ、また来たのか？"と言ったという。

2016年にポストマスター作戦に関する文書の機密が解除されて以来、ジェフリーと彼の仲間のコマンドーに関する本が数多く出版され、彼がイアン・フレミングのジェームズ・ボンドのインスピレーションの1人であったという主張がなされている。しかし、あまり知られていない話もある。

1930年代初頭、オックスフォードの学生だった私の母は、オックスフォード・グループ（後の道徳的再武装、現在の変革のイニシャティブ）に身を投じていた。戦争初期、フランスから休暇で帰国したジェフリーは、部下の兵士たちの個人的な問題を解決する手助けができればと母に言った。彼女は彼に、彼らが神への信仰を見出す手助けができるのではないかと提案した。「私が持っていないものを彼らに与えることはできない」と彼は答えた。父の著書の中で語られている、 Good God it Works！で語られているように、これが転機となった。

ジェフリー祖父が書いた回顧録『Geoffrey』 （ ）には、ジェフリーからの手紙が引用されている。「家を出る日......私はキリストに人生を捧げるという大きな決断をした。私はオックスフォード・グループに必ずしも加わってはいないが、やがて彼らと完全に同一化することになると信じている。しかし、私はもう十分長い間、自分自身の原則や基準で自分の人生を運営しようとしてきたが、あまり驚くような成功を収めることはできなかったと判断した。だから、これからは神の基準で人生を歩んでいこうと思う......そうして、世界の改造と道徳的再武装に少しでも貢献しようと思う」。

「この時から、"ジェフリーは神の導きと助けを大いに頼った "と父親は書いている。

1940年5月、ドイツがフランスに侵攻した後、ダンケルクへの撤退作戦が行われた。ジェフリーは、橋で10台の車輛を出迎え、ダンケルクまで先導するよう命じられたが、彼が橋に着いたとき、橋は激しい砲火にさらされており、到着した車輛は8台だけだった。 彼は彼らを先に行かせ、残りの2台を待つかどうか悩んだ。そのとき、彼は強く思った：「その8台をすぐに追え」。

彼は8台のトラックに追いつき、敵陣に突入する前に方向転換させた。橋が爆破されたのは、彼がその場を離れてから30分後のことで、彼は後になって、行方不明の車輛が別の命令によって迂回させられたことを知った。彼は、神がその思いを彼に送ったのだと信じた。

ダンケルクの砂丘で避難を待っていたジェフリーは、周囲に爆弾が降り注ぐ中、耳元で "私は血まみれの臆病者のように感じるが、君はどうだ？"という声を聞いた。その声の主、ガス・マーチ・フィリップスは彼の友人であり、指揮官となった。

英国に戻った彼らは、小規模な機動襲撃部隊を作ることを思いついた。ポストマスター作戦の後、彼らは占領下のフランス沿岸部での空襲に重点を置き、ドイツ軍に部隊を沿岸防衛に回させた。ガスは1942年9月、これらの空襲のひとつで戦死した。ジェフリーは1943年7月、連合軍のシチリア侵攻中に26歳で行方不明になった。私の母は、道で彼に出会って、彼が生き残っているのを見つけることを望んでいたと話してくれたことがある。

第二次世界大戦のもう一人の英雄、ウラジーミル・"ポプスキー"・ペニアコフは、ジェフリーについてこう語っている。"彼が部下にとった配慮は、冒険の予感に興奮しすぎて自分以外の誰のことも考えなかった兄弟将校の中で、彼を際立たせた"。